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[電子楽譜] 管弦楽曲
太田哲也:ヴァイオリン協奏曲(2006) フルスコア
BEPDF-02600
\4,785
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作曲家 太田哲也 氏 の楽譜につきまして、楽譜PDFファイルを電子メールに添付して配信する形式にて販売しております。
[フルスコア39頁]
※PDFファイル上の用紙サイズはB4に設定されています。印刷する際には適宜サイズを調整して印刷してください。
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風が吹き、草が揺れ、陽炎のように音が立ち昇る。その立ち昇った音が光に溶け、黄金の粉となってたゆとう。この音から今回の仕事は始まった。
熊本に八景水谷という美しい名前の土地がある。そこは名前の通り、滾々と清水が湧き立ち、谷間に青々とした草原が広がる。草原の中の一本の草のように私は、そこに座りじっと凝視する。音を捉えようと。
八月の光は燦々と降り注ぎ、その光が作り出す影は余りに暗い。風が吹き、立ち昇った音が風に攫われ霧散する。そのどこまでも脆い音を捉える事からこの仕事は始まった。私は、やっとのことで手に入れた幾つかの音を固く握り締め、それらの音を鍛え上げる為に山に入る。
思い切りはったりを噛ますと、「私は、ギリシャの偉大な悲劇作家アイスキュロスの強い影響のもと、この作品を書いた。」とでもなるのだろうか。実際は、ひたすらギリシャ悲劇を読み耽り、心も臓腑も捩じ切れる程感動しながら、その合間にこの曲のメモを取ったという位のものなのだが。
コロス(合唱隊)が嘆き、悲しみ、或は笑い、喜び、舞う。そこにソロ(俳優)が、すっと立ち上がるように現われる。この悲劇という形式に見るコントラスト。ここに私は、文学的な意味を超えた、協奏曲にも通じる一つの定型を見る。悲劇を背負い、単独者としての孤独を生き抜いて行くソロ。私が今回書きたかったのはこれだ。安易にオーケストラと凭れあう事無く独自に自らの運命を体験して行くソロ。そうだ、ギリシャ悲劇は人間と人間(或は限りなく人間に近い神)との関係の捩れをとことんまで体験させてくれる。
山中を歩く。風が吹き山が鳴る。通奏低音のような山鳴りの上に、パイプオルガンのような無数の蝉の声が鳴り響く。私は歩く、単独者のように。突然吹き抜ける強い風が耳に篭り、その直後一瞬の静寂が訪れる。その静寂に染み込むように蝉の声が広がり、打ち込まれた楔のように甲高い鳥の声が響く。草を踏みしめる自分の足音に、自らの吐息が絡む。私は、生れ落ちたばかりの雛鳥のような、さっき拵えたばかりの旋律を、その雛鳥を空に向かって放すようにおずおずと口遊んでみる。山鳴り、風、生き物の声、そして私自身の足音、鼓動、幾つもの音が重なり、絡み合いやがて重層的な流れを、複雑な律動を形作る。木立の間から差し込んでくる夕方の光も、今ここでは柔らかく漂うような音となる。こんな日を幾つも繰り返し、この曲は完成した。
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(初演時プログラムノートより)
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さまざまな音楽のジャンルの中でも私自身はオーケストラ作品の中で最も自分らしさを発揮できると思っていた、多分十数曲になるだろうそれらの譜面は諸般の事情により残っていない。自ら破棄したか、誰かにあげてしまったか、繰り返す引っ越しの荷物に紛れてしまったか。
この度、我が盟友谷憲司さんからヴァイオリン協奏曲の譜面が見つかったという連絡をいただき、半ば呆然としているうちに更にその不完全な譜面を浄書したものが送られてきて、何やら尻を蹴飛ばされているような気持ちで、そのスコアに加筆していくにつれ自分の中で眠っている何かが蠢き出すのがわかった。
もはや古い鏡の中に封じ込められている妖怪のようにしか思えない過去の自分と対面し、腹の奥でかろうじて燻っている埋火のような創作意欲とやらに息を吹きかけられたような気がして、うん、そうさ、久々に新曲を書けるだろうかと一人で脂汗を流している。
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(あとがきより)
太田 哲也
<経歴> 長崎県出身 幼少よりピアノ、ヴァイオリンを、十代より作曲、サキソフォーンを学ぶ。高校在学中より米軍基地周辺の施設等で演奏を始める。高校卒業後上京。入江徳次郎氏の主宰する同人「未明会」にて多数の作品を発表。作曲家としての活動を始める傍ら、指揮法を勉強。1980年代半ばより福岡に移り、オーケストラ、室内楽など、その都度自由に形態を変えつつ活動する音楽グループ「研鑽」を結成。自作の発表に努める傍らヨーロッパの古典音楽を学ぶ。同時にサキソフォーンを中心としたグループを結成、各地の小会場、ライブハウス等で自由な活動を展開する。近年は健康上の理由から全ての活動を休止。鬱々とした日々の中、石板に文字を刻むように、発表するあての無い音符を書き続けている。
<主要作品>
・初めての風景~ピアノ、木管アンサンブルの為の(1979初演)
・街は燃える~オーケストラの為の(未発表)
・ファゴット協奏曲(1985初演)
・最後の牧歌~オーケストラの為の(1986初演)
・愛憐~フルート、ファゴット、オーケストラの為の(1992初演)
・封印~コントラバスとオーケストラの為の(1997初演)
・愛憐Ⅱ~オーケストラの為の(1998初演)
・静謐の夜~オーケストラの為の(1999初演)
・ピアノの為の三つの季節より冬(2005初演)
・交声~コントラバスとピアノの為の(2005初演)
・楽土~オーケストラとピアノの為の(2005~6 分割して初演)
・詩歌~無伴奏ヴァイオリンの為の(2006初演)
・マリンバとピアノの為の「水の流浪~センブロン河の夜」(2006)
・ヴァイオリン協奏曲(2006)
・カタロニアの光と影~カタロニア古曲による七章(2011)
・夏の花~オーケストラの為の(2012初演)
・連作「水の流浪 I」~アルトサキソフォーンとピアノの為の(2013)
・三つの幻想曲~クラリネット、バスーンとピアノの為の(2014)
・連作「水の流浪Ⅱ」~アルトサキソフォーンとピアノの為の(2017)
・封印Ⅱ~ヴァイオリンとピアノの為の(1997,2018改訂)
・二つの彩り~アルトサキソフォーンとピアノの為の(2018)
・連作「水の流浪Ⅲ」~チェロとピアノの為の(2021)
・連作「水の流浪Ⅲ」~アルトサキソフォーンとピアノの為の(2022)
・ピアノ小品集「異界へと消えゆく響き」(2026)
他
太田哲也 公式サイト(運営はご本人と異なります。最近更新されていないようですが過去作や諸活動についての記述がございます。)
YouTubeチャンネル neko_bashiri(太田哲也氏との対話を通じ、氏の活動について広範囲に紹介されています。)
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